今回、改正されたのは道路交通法 第七十一条 第五号の五の罰則についてです。とりあえず強化された内容を書き出します。そのあと、法律の原文を見ながらどういうことをしたら捕まるのかを具体的に見ていこうと思います。
目次
強化された内容!
携帯電話使用等(保持)
スマホを手に持って、通話や操作をした場合とカーナビをじっと見ていた時の罰則です。
罰則 | ||
---|---|---|
5万円以下の罰金 | → | 6月以下の懲役 又は 10万円以下の罰金 |
反則金 | ||
大型:7千円 普通:6千円 二輪:6千円 原付:5千円 | → | 大型:2万5千円 普通:1万8千円 二輪:1万5千円 原付:1万2千円 |
違反点数 | ||
1点 | → | 3点 |
携帯電話使用等(交通の危険)
スマホを手に持って、通話や操作をした場合とカーナビをじっと見ていて、さらにその状態で事故を起こした時の罰則です。
罰則 | ||
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3月以下の懲役 又は 5万円以下の罰金 | → | 1年以下の懲役 又は 30万円以下の罰金 |
反則金 | ||
大型:1万2千円 普通:9千円 二輪:7千円 原付:6千円 | → | 交通反則通告制度から外ます。 全て罰則が適応されます。 つまり前科が付きます。 |
違反点数 | ||
2点 | → | 6点(免許停止) |
これからはスマホながら運転をしたら、重いペナルティ(これまでの事故を起こした時のペナルティよりも重い!)を受けることになります。もし、事故を起こしたら一発で免停で、即罰則(反則金ではすまない!)となります(反則金と罰金の違いについては下記)。
何をしたらこれに当てはまるの?
道路交通法 第七十一条第五号の五についての罰則ですので、この原文を見ていこうと思います。
道路交通法 第七十一条 第五号の五(原文)
自動車又は原動機付自転車(以下この号において「自動車等」という。)を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、携帯電話用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置(その全部又は一部を手で保持しなければ送信及び受信のいずれをも行うことができないものに限る。第百十八条第一項第三号の二において「無線通話装置」という。)を通話(傷病者の救護又は公共の安全の維持のため当該自動車等の走行中に緊急やむを得ずに行うものを除く。同号において同じ。)のために使用し、又は当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置(道路運送車両法第四十一条第十六号若しくは第十七号又は第四十四条第十一号に規定する装置であるものを除く。第百十八条第一項第三号の二において同じ。)に表示された画像を注視しないこと。
つまりどういうこと?
自動車又は原動機付自転車(以下この号において「自動車等」という。)を運転する場合においては、
ここは言うまでもなく「車を運転する時に」ということです。
当該自動車等が停止しているときを除き、
「車が止まっている時は別にいいけど」ということです。「赤信号と停止している時は気にしなくていいよ」という意味も含まれていると思われます。
携帯電話用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置(その全部又は一部を手で保持しなければ送信及び受信のいずれをも行うことができないものに限る。第百十八条第一項第三号の二において「無線通話装置」という。)を通話(傷病者の救護又は公共の安全の維持のため当該自動車等の走行中に緊急やむを得ずに行うものを除く。同号において同じ。)のために使用し、
随分と回りくどい言い方ですけど「緊急の場合を除いて、手にもって操作しないといけない装置を使ったらダメ」ということですね。この部分には「手で保持しなくても通話ができるならOK」という意味も含まれるので「ハンズフリーで通話するのはOK」です。
又は当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置(道路運送車両法第四十一条第十六号若しくは第十七号又は第四十四条第十一号に規定する装置であるものを除く。第百十八条第一項第三号の二において同じ。)に
取り付けられた画像表示用装置はカーナビのことです。スマホを固定して使用するなら、持ち込まれた画像表示用装置の方に当てはまると思います。
表示された画像を注視しないこと。
「運転中にカーナビやスマホの画面をじっと見たらダメ」ということです。
まとめると。
「車が止まってる時はいいけど、走っている時にスマホを手にもって通話したり操作したりしたらダメだよ。ハンズフリーならいいけど。あと、カーナビの画面をじっと見ていたらダメだよ。それから、スマホを固定して操作するのもいいのはいいけど、カーナビと一緒で画面をじっと見たらダメだよ。」ということになるかと思います。ただし、注意しないといけないのは、注視の時間をどの程度と考えるかです。2秒という説もありますが、確実ではありません。後で記載します。時間ではなく、視線がそちらを向き意識がそちらにとられるのがダメということなら、操作もできないということになるので、操作はしない方がいいということになります。取り締まりは、ケースバイケースということらしいので、やめておいた方が無難でしょう。
こういう場合はどうなの?
赤信号で停止中の時にスマホを操作する。
道交法で「赤信号は停止する」と書いてあるくらいなので、赤信号は停止するもので、「当該自動車等が停止しているときを除き」の部分に当てはまります。よって、理屈上は道交法違反にはなりませんが、青信号になっても気づかない可能性や、その結果交通の妨げとなって渋滞を引き起こす原因ともなるので、やめておいた方がよいだろうと思います。
走行中にスマホを手に持つ。
理屈上は道交法違反ではありませんが、片手運転は危ないですし、もし警察官に見られたら「スマホを操作していたんじゃないか?」と疑われ、車を止められることことは間違いありません。「道交法七十一条第五号の五で言うところの『通話のために使用』や『表示された画像を注視』はしていないから違反ではない」と主張したところで信じてもらえるかもわからないですし、車を止められるだけでも時間がもったいないので、やめておいた方がいいんじゃないかと思います。
スマホを置いた状態で操作をする。
ダメなのは手にもって操作しなければいけない装置で通話したりその装置を操作したりすることなので、置いて使えるならOKということになります。ただ、後半の持ち込まれた画像表示用装置の方に当てはまってしまうため、操作をしてもいいけどじっと見てたらだめということになります。結局はカーナビと同じ扱いということです。
何秒以上で注視したことになるの?
「おおむね2秒を超えて見続けること」と言われているが、この根拠となるのが国土交通省が車載装置情報提供事業者に向けて行った発表文だ。この中にカーナビの画面表示を同の様にすべきかという項目で”注視(おおむね2秒を超えて画面を見続けることをいう。)をすることなく読み取ることのできない複雑かつ多量な道路交通情報“といった文言がある。
反則金と罰金って違うの?
交通反則通告制度という制度があり、これは「点数制度上6点未満の軽微な交通違反をした場合の手続きを簡略化する制度」です。どんな軽微な交通違反でも、法律違反には違いないので、本来ならば前科が付きます。しかし、反則金を納付すれば刑事罰にはならず前科も残らないというシステムです。スマホのながら運転中に事故を起こした場合、これからはこの制度から外れるため、反則金ではなく懲役又は罰金となり、前科が付く!ということになります。