いつもどおりに娘と並んで朝ごはんを食べていた時のこと。娘が急にこちらを向き、右手に持った空の皿を見せながら「全部食べたよ。」と報告してくれた。ただし、左手には食べかけのパンを持っている。(まだ、パン残ってるじゃん!)と、思いながらも、「全部食べたね、偉いね。」と褒めてあげると、左手を見せながら「パンあるやんかー!」と声を上げる。
その反応の仕方に驚いた私は「もしかしてツッコミ待ちだったの?!」と慌てて聞くと、娘はこともなげに「そう。」とだけ答えた。
流石に2歳で「ツッコミ待ち」という言葉を理解しているとは思えないので、適当に返事をしただけだと思うが、その概念に基づいた行動をしているようには見えた。
次の日もまた、左手に食べかけのパンを持って、右手で空になった皿を見せながら「全部食べたよ。」と言ってきた。前日の娘の言葉を使って「パンあるやんかー。」と左手のパンを指差すと、嬉しそうににこにこした顔で笑い声を上げた。
デンバー式発達スクリーニング検査というものがある。発達の遅れがないかをチェックするための検査だ。この検査用紙には、「個人ー社会」「微細運動ー適応」「言語」「粗大運動」の4つの領域に分けられた104の項目について、90%の子供が出来るようになる月齢が記してある。例えば、「粗大運動」であれば、定頸(首のすわり)が4ヶ月、寝返りが6ヶ月、座位が8か月、つかまり立ちが10ヶ月といった具合だ。発達には個人差があるので前後することは当然あり、これから外れたからといってすぐに病気だというわけでは全然ない。ただ、ある程度の目安としては有用だ。
その発達検査に項目はないが、ボケツッコミにも発達の順番があるんじゃないかと考えている。
娘のお笑いの発達はどうだろうか。ボケは割と早くに覚えていたように思う。ただし、最初は言いっぱなしのボケだった。その次はツッコミを予想したようなボケを言うようになって、ツッコミやすいようなボケが出来るようになった。確かにここまで出来ていれば、ツッコミ待ちは可能だろうとは思われる。その次に出来るようになるのは、同じ設定のまま連続してボケるかぶせや、間を開けて同じボケを繰り返す天丼などなのだろうが、今のところそこまでは出来ないようだ。
その次の日はもう満足したのか、普通に全部食べきり、空の皿を見せながら「全部食べたよ。」と教えてくれた。前日、前々日のことを思い出しながら「今日は左手にパンないね。」と言うと、不思議そうな顔をして左手をじっと見始めた。
もう少し娘が大きければ「いやいや、天丼で来るかと思ったら来なかったからからそう言っただけだよ。左手を見ても何もないよ。」とツッコむ所だが、2歳児に天丼と言っても通じないだろう。シンプルに「左手を見ても何もないよ。」とだけツッコんだが、娘はその後もしばらく、何をするでもなく、ただ左手を右から左からと眺め回していた。
これは新世代のボケだろうか?
それ以上、どうツッコんでよいのか分からず「お茶をいれてくるね。」と冷蔵庫の前に逃げてしまった。私もまだまだツッコミの技術を発達させていかないといけないようだ。